けいたいしびれわなをとる為めに

けいたいしびれわなは大変危険で有効なワナなのです

NHKにようこそ!

アニメ版も傑作だったけど、原作である本書もまた傑作。本末転倒な気もするけど、アニメ版から入った自分としては、アニメのイメージが残った状態で読んでいるのでそういう認識。

ただ、どうしようもない衝動のような、ことばにできないオーラのようなものは確実にこちらのほうが上。それもまた、当然なのだけれど。この時代に、この作品が書かれたのは必然であるような気がする。

共感する人は少ないかもしれないけど、この時代のある特定の心理状態を持つ若者には、それこそ死にたくなるくらい共感できる話だと思うし。

だから、「文学作品としての傑作」とまではいわなくても、「現代(という時代の)小説としての傑作」という評価は受けるべき。退魔師ミコトも面白いと思うけどね。


この作品が書かれてもう10年が経とうとしているけれど、この作品に書かれたテーマは(悲しいことに)今の若者にも共感されるものであり続けている。

いつかそんな時代が終わったとき、この作品はその時代性を表す書として思い出されるのか、それとも過去の遺物として忘れ去られるのか。そのようなことも含めて、興味深い。